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2012-12-28

アルザスの「州・県統合」の行方

アルザス地方に置かれた「アルザスAlsace州」はフランス本土でもっとも面積の小さい州(8280k㎡)であるだけでなく、ドイツとの国境付近における特有の歴史・文化・地理的背景を共有し、アルザス地方全体として社会経済上一つの堅固なアイデンティティを形成している地域である。

そのアルザス地方で、自治体の再編が注目を集めている。同地方には、アルザス州と、その中にバ・ランBas-Rhin県、オ・ランHaut-Rhin県という2県が置かれているが、階層を超えたこれら3つの自治体を一つに統合しようとするものである。行政の「効率性」「透明性」の向上を目指す大胆な取り組みとして注目に値する。

地方制度に関し、右派は前サルコジ大統領が州、県、コミューンという三層の地方制度を「ミルフィーユ」と揶揄し、アルザスに限らず州・県の実質的な統合(州県の議員を全員兼任させる制度)を目指したように、その構造の簡素化によって効率性の向上を志向する傾向がある。

アルザスは保守的な政治風土でも知られている。例えば、フランス本土に置かれた22州のうち20州において社会党が与党の地位を占める中、このアルザス州とコルス州のみが右派であるし、バ・ラン県、オ・ラン県もともに与党は右派である。3団体の総議席数122のうち79を保守系が占める。

アルザス州  議席数 47 うち右派28、左派、14、極右5
バ・ラン県  議席数 44 うち右派31、左派10、その他3
オ・ラン県  議席数 31 うち右派20、左派11
  (計)  総議席数122 うち右派79

アルザスにおける自治体統合の動きも、こうした保守的な政治的傾向と無縁では無い。

左派社会党は、州県兼任議員制度の撤回を掲げるなどサルコジ改革を否定している。関係する州・県すべてのトップが右派であることは、今回の取り組みの推進に大きな影響を与えている。
ただ、社会党の現オランド大統領も、選挙戦中の2012年3月16日、「仮に自分が当選した場合であっても、アルザスの統合に向けた実験的取組に横やりを入れるようなことはしない」と明言している。アルザスの歴史文化的特殊性はやはり頭に置きつつ見ることが必要だろう。

■2007年6月4日、CESER提言
アルザス州議会の職能代表的諮問機関「アルザス州経済社会環境委員会(CESER:Conseil économique, social et environnemental régional d’Alsace、以下「CESER」という)」は今回の統合に向けた動きの先導役である。2007年6月4日には「同委員会は、州規模で単一の自治体を創設し、そこには普通選挙により選ばれた、地域・住民を代表する議員から構成される『アルザス議会Conseil d’Alsace』を設置すべきである。同議会は現在州および2県に属する権限を執行するものとする。」との意見を採択している。

その後、2010年12月16日に「地方公共団体改革法」が成立したのを受けて、CESERは2011年3月30日にも同旨の意見を改めて採択、「アルザスに透明性と効率性を」と重ねて主張している。

■地方公共団体改革法(2010年12月16日法)
この2010年12月16日法とは、州とその構成県との合併を認める初めての法律である。同法29条(溶け込み後の地方自治法典では4124条の1)には次のように定められている。

Ⅰ 州及びその構成県は、それぞれの議会における同一の議決により、それぞれが有していた権限を執行する単一の地方公共団体へと合併することを請求することができる。
当該地域が山間地域を含む場合には、合併案は山地委員会(les comités de massif)に諮問しなければならない。同委員会が、地方長官を通じて、州および関係県議会の議決の通知を受けてから4か月以内に意見を述べない場合には、同委員会は賛同したものと見なす。
Ⅱ 当該請求があった場合、政府は、関係県のそれぞれにおいて、有効投票数の絶対多数かつ登録有権者数の1/4以上の賛同が得られた場合に限り、手続きを続行することができる。
 当該住民投票(consultation des électeurs)は本法(…条)に定められた手続きにより執行される。地方自治体を所管する大臣の定めたアレテにより投票日を定める。ただし、第一項の最後の議決の通知日から2か月以上空けなければならない。
Ⅲ 州及びその構成県の単一地方公共団体への合併は、その組織や行政運営について定める法律により定められなければならない。

■2011年12月1日、アルザス全体会議
この規定に従い、まずは州及びその構成県の各議会における議決がまず必要になるわけであるが、アルザスではちょっとした演出が施された。アルザス州、バ・ラン県、オ・ラン県の各議会が各々議会を開催するのに先立ち、3議会の全122議員が「アルザス全体議会(Le Congrès d’Alsace)」と称して2011年12月1日、コルマール市のオ・ラン県議会議事堂に一堂に会し、将来実現さるべき「アルザス議会」を先取りしたのである。

結果は、賛成101、反対1、棄権19、欠席1と圧倒的多数で新自治体の発足を支持した。

その際、新自治体への統合の狙いとしては以下のような点が主張されている。
・州や県という住民から遠い行政を住民の元に引き寄せることで可視性を向上
・自治体間の競合を防ぎ、意思決定過程を簡素化
・公共サービスを最適化
・組織の共有等により内部コストを節減
・ドイツやスイスとの折衝における発言力を確保
・国からの権限移譲の受け皿となる

■2011年12月~2012年2月、各議会における議決(法定手続き)
アルザス全体会議ののち、州・県の各議会においては、法律上の正式手続きとしての議決が順次行われた。2011年12月12日バ・ラン県議会にて可決、2012年2月13日アルザス州議会にて可決、同月17日オ・ラン県において可決。

これを受け2012年3月9日、政府は州地方長官を通じて、これらの議決を確認の上、手続きの続行を認めた。統合を問う「住民投票」への道がこれで正式に開かれたことになる。

■2012年3月24日、プロジェクトグループ発足
これを受け、2012年3月24日、50人から成るプロジェクトグループ(Groupe Projet)が初めて開催され、新自治体の組織や運営、ガバナンス、権限などについて具体的な提言の準備を進めることとされた。ただ課題は多岐にわたる。例えば、
・ 県組織は完全に解消するのか。この点につき、オラン県のシャルル・ビュットネール議長は、行政の近接性の維持を理由に、県が完全に消失してしまうことには反対を表明しているがどうするか。
・ 「アルザス議会」の議員の選出方法はどうするか。先に述べた2011年12月1日の「アルザス全体会議」では、多数代表制及び比例代表制を組み合わせた方式の導入が採択されているが、その具体的方法は明らかされていない。
・ アルザス議会をどこに置くか。現在のアルザス州庁所在地でありバ・ラン県庁所在地でもあるストラスブール市はその地位を維持したいと願う一方、オ・ラン県庁所在地のコルマール市は同市へのアルザス議会設置を主張。さらに同じオ・ラン県でもコルマールの倍の24万の人口を擁するミュルーズ市は、州庁所在地のストラスブールへの存置とバランスのとれた地域間機能配分を主張している。
・ 各自治体の公務員の身分保障や今後のキャリアパスをどうするか。
等々。

プロジェクトグループは、州及び2県の各議会から7人ずつ21人、CESERから6名、全仏メール連合など関係団体から3名ずつ9名、コルマール・ミュルーズ・ストラスブールの各都市圏共同体から2人ずつ6名、2県から国会議員4人ずつ8名の計50名から構成され、大枠の調整を進めることが期待されている。

■2012年11月24日、再びアルザス全体会議開催。来年4月住民投票へ
その後、大統領選挙及び国民議会議員選挙の影響で若干の日程の遅れはあったものの、2012年11月24日、ストラスブール市にて、再び122人の議員が結集し、アルザス全体会議が開催された。

当日は、賛成108、反対5、棄権9の圧倒的多数で、住民投票で問うべき「新自治体の組織の骨格principes d’organisation」が採択された。これはプロジェクトグループが精力的に調整をしてきたものである。住民投票は「1州2県の統合による新自治体の創設」の是非を問うものであるが、その際、この骨格も明示されることになる。なお、住民投票は2013年4月7日が予定されている。

■アルザス自治体の「骨格」
この日採択された「新自治体の組織の骨格」の大要は以下のとおりである。
・ 新たに創設する自治体「アルザス地方共同体la Collectivité territoriale d’Alsace」はストラスブールを本拠地とし、アルザス州議会、バ・ラン県議会、オ・ラン県議会にとって代わる。
・ 議決権と執行権は区別され、新自治体はストラスブール市に本拠地を置く議決機関「アルザス議会l’Assemblée d’Alsace」とコルマール市に本拠地を置く執行機関「アルザス行政委員会le Conseil exécutif d’Alsace」により運営される。なお、このアルザス行政委員会の構成員はアルザス議会により選出され、同議会に対して責任を負う。
・ アルザス議会は、新自治体の政策を決定し、計画的運営を保障し、行政の運営ルールを定める。
・ 新自治体は法人格を付与され、現在州及び2県に属する権限および国から新たに移譲されるアルザス固有の権限を執行する。
・ アルザス地方共同体は、市町村及びその連合体との協議を通じて、一部の権限をこれらの団体に委任することができる。
・ 現在1州2県に属する業務の新自治体への移管に当たっては、職員の身分保障が考慮される。
・ 諮問機関として「アルザス州経済社会環境審議会le conseil économique social environnemental régional d’Alsace」を設置する。同審議会は、アルザス議会議長及びアルザス行政委員会委員長から諮問を受けるほか、新自治体の権限に属するあらゆる分野について自ら意見を述べることができる。
・ アルザス議会議員の一部は、カントンを単位とした多数代表制により選出される。また他の一部は州を選挙区とする比例代表制により選出されるが、各県からバランスよく選出されるよう一定の区分を設ける。
・ 両性の平等を保障するため、各候補者名簿には男女の候補者を交互に掲載すべきものとする。
・ 議員総数は、現行のそれに比して10~20%の削減となる。
・ 現行のバ・ラン県、オ・ラン県に対応し「県域協議会conférences départementales」を設置する。同協議会は法人格を有さず、バ・ラン、オ・ランの各県域に属するアルザス議会議員から構成され、アルザス行政委員会の副委員長が会長を務めるものとする。
・  生活圏に着目をして画定されたエリアごとに「生活圏委員会conseils de territoire de vie」を設置する。同委員会は法人格を有さず、構成員は一定のエリアごとにアルザス議会議員の中から選出され、アルザス行政委員会の副委員長が会長を務めるものとする。同委員会は、地域との対話のツールとして活用されるとともに、アルザス議会において決定された政策の一部の実施に当たる。

複雑に見えるが、次のように考えるとイメージし易い。

まず前提として、フランスの自治体は議員内閣制的な形態をとっている、すなわち議員の中から執行機関としての議長(いわば知事)やメール(市町村長)、そして各分野を担当する複数の副議長や副市長村長が選出され、行政運営に当たっている。

アルザス議会も、その議員の中から執行機関たるアルザス行政委員会の構成メンバーを選出するとともに、その副委員長(言わば州の副知事格)が旧来の県域ごと或いは生活圏ごとに設置された組織(県域協議会、生活圏委員会)のトップを務める(これはパリの副市長が区長を兼ねていることにも通じるものがある)と考えれば分かり易いのではないだろうか。なおこの案で執行機関が委員会制をとっているのは、同様に地域の独自性の高いコルス州(le Conseil exécutif de Corse)のアナロジーであろう。

■今後の展開 ~2013年4月7日、「住民投票」~
来年4月7日の「住民投票」の結果が待たれるところであるが、本当に予定どおり執行されるのかも含め、まだまだ不確定要素がありそうな状況である。

仮に住民投票が行われ、バ・ラン県、オ・ラン県それぞれにおいて有効投票数の絶対多数かつ登録有権者数の1/4以上の賛同が得られた場合には、政府がそれを踏まえて組織や運営の細目についての立法措置を講ずることになる。この点は、先に引用した条文のとおりである。

もちろん、住民投票は新自治体創設の可否自体を問うものであり、その組織等の細目についてまで立ち入るものではない。またそれに続く政府の立法内容も上記の「骨格」案に縛られるものでもないが、その立案過程において、アルザスにおけるこうした議論の内容が重要な情報として参照されることになろうことは言を俟たないだろう。
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2012-10-08

オランド流「地方分権改革」に向けた大統領声明と今後

フランソワ・オランド大統領は、今月5日、上院の「地方の民主化に係る“三部会(États généraux中世フランスの全国三部会から命名)”全体会合」に出席し、地方分権改革に関する今後の方向性について言明しました。大統領選を通じて、前サルコジ政権下でとられた措置の撤回を含む抜本的見直しは訴えられてきたものの、その具体的内容については明らかでない部分も多かったため、今回の大統領発言は注目に値すると思います。

政府は当初、9月末に地方分権にかかる方針を明らかにするとして来ましたが、より丁寧に地方の意見を吸い上げるべく1ヶ月程度延期のうえ検討を重ねているところであり、議論は佳境を迎えつつあります。

同時期(10月3日~5日)、フランス南部のビアリッツにおいてはコミューン間広域行政組織協議会(AdCF)総会が開催され、私も出席の機会を得たのですが、そこにはマリリーズ・ルブランシュ分権改革大臣、セシル・デュフロ国土均衡大臣のほか、クロード・バルトロンヌ国民議会議長、ディディエ・ギョーム上院副議長等々が揃って遠路駆けつけるという熱の入れようでありました。
今回のオランド大統領の発言と、ルブランシュ分権大臣の言葉などを組み合わせると、オランド政権の目指す分権の姿が朧気ながら見えてくるのですが、その内容は、日本における分権改革と期せずして平仄が一致するところが多いのも興味深い点です。

以下、そのポイントを紹介させて頂きます。

1 「州・県兼任議員」の廃止

前サルコジ政権時代に、コミューン・県・州という三層制の簡素化の観点から、新たに「地域議員(conseiller territorial)」という身分を創設し、県議会と州議会の議員をこの「地域議員」という言わば「州・県兼任の議員」に置き換えるという法案が提出され、既に2010年12月に公布されています。同法においては、第1回の地域議員選挙は2014年3月が予定されていました。
オランド大統領はその公約において、地方の反対の多かった、この「地域議員」の廃止を訴えてきており、今回改めてその意志を明らかにしています。すなわち、県議会議員・州議会議員別々の独立した選挙へと戻すというものですが、大統領からは加えて、「両選挙は同日に、異なる投票方法により執行する」との説明がなされています。

加えて、元々2014年にはコミューン議会、欧州議会、上院議会議員選挙と多数の投票が予定されていることから、国民及び関係議会の混乱を避けるためにも、県議会・州議会の選挙は1年間期日を延期し2015年に実施するよう政府に要請する、としています。

2 コミューン間広域行政組織の議員選挙の改革

コミューン共同体(communautés de communes)や都市圏共同体(communautés d’agglomération)、大都市共同体(communautés urbaines)などのコミューン間広域行政組織は、小規模で財政的基盤も脆弱なコミューンの受け皿としてますますその重要性を増しており、独自の課税権を持ち、多額の予算を採択・執行しています。そうした中、民主的統制の観点から、コミューン間広域行政組織の議員を、現在のようにコミューン議会内での互選にかからしめるのではなく、直接選挙により選出すべきとの議論がかねてより盛んになされてきたところであり、2010年12月の改正法においても、その原則は既に盛り込まれているところですが、詳細設計は今後に委ねられています。ビアリッツのAdCF総会でも多くの首長から意見が出されていました。ルブランシュ分権大臣は、「それはマニュエル・ヴァルス内務大臣の仕事」と冗談めかしてかわしていましたが。

今回、オランド大統領は改めて、コミューン間広域行政組織の議員は、コミューン議会議員選挙と同時に執行される直接・普通選挙により選出されるべき、と述べると共に、具体的選挙方法については「コミューン間広域行政組織とコミューンの双方について別々に投票することなく、しかし一方で選挙民が自らの投票したコミューン議会議員(の名簿)のうち誰がコミューン間広域行政組織の議員となるのかが予め分かるようなシステム(système de fléchage)が望ましい」とコメントしています。

3 2013年初頭の分権改革法案提出と「協議の場」

大統領は、来年初頭には地方分権に係る新法案を、地方代表の性格を持つ上院先議で提出すると言明。その目玉の一つが「地域に関するハイレベル協議の場(Haut conseil des territoires)」の創設であるとしています。先にも述べたようにオランド政権はサルコジ時代に「多層制」の弊害の打開策として導入された州・県兼任の「地域議員」制度を、執行を見ずして廃止することとしていますが、二重行政等といった現行制度への批判に現政権としてどう応えるのかは明らかにされて来ませんでした。その答の一つがこの「協議の場」であり、また後に述べる「権限配分の明確化」ということになります。

この協議の場については、AdCF総会でルブランシュ分権大臣がより踏み込んで述べていましたが、政府、上院、地方自治体の代表(全仏州連合会、全仏県連合会、全仏市長会など各種団体の代表)などから構成され、地方自治体に影響を与える全ての法案は予めこの協議の場にかけられ、討議、交渉、評価が行われることが想定されています。

4 雇用、人材育成、中小企業振興策を「州」に集約

同分権改革法案においては、雇用、人材育成、中小企業振興策を州に委ねられることが予定されていることが明らかにされました。オランド大統領は、国及び自治体間の権限の明確化のため、ある分野に属する権限は、国・州・県・コミューンのいずれかの階層に丸ごと帰属させる「権限ブロック(bloc de compétences)」のロジックを徹底させたいとし、その具体案の一つとして「国は、雇用・人材・中小企業という3つの分野の政策全体の舵取りを州に委ねる」としています。

5 自治体の「実験的取組」の促進

2003年の憲法改正により、地方自治体は「実験的取組」に関する権限を憲法上も付与されたところでありますが、今般の分権改革法案にはその拡大・柔軟化を盛り込み、新たな施策に一層積極的に挑戦できるような環境づくりをしたいとしています。オランド大統領は「フランス共和国は一つ(une)であるが、一様(uniforme)ではない」と強調し、地方自治体の、地域に根ざした多様な施策への挑戦を鼓舞しています。

6 国の基準の削減・簡素化

「現在40万の法的な基準が置かれているが、この数字はいかに多くの束縛が地方自治体にのしかかり、地方分権を阻んできたかを物語るものである。私たちは地方自治体のコスト、あるいはこれらの手続きに要する時間に鑑みて、この状況を容認することは断じてできない。」
オランド大統領はこのように述べた上で、地方自治体の運営を拘束する国の諸基準の削減・簡素化に向けて次のような「新手法」を提案しています。
① いかなる基準も「基準評価委員会(Commission d’évaluation des normes)」の賛同を得ずして決定されることは無いものとする。
② 法定の期限までに必要性について確認されなかった全ての基準は直ちに無効とする。
③ 新たに基準を創設しようとする場合、他の基準の廃止とセットでなければ認められない。

7 国・地方を挙げた財政再建への「努力」

オランド大統領は、財政再建は政府の最優先課題であるとし、地方自治体を含む全ての主体に「努力」を呼びかけています。ただ、その達成手法など具体的内容については「開かれた丁寧な議論が必要」と述べるに留めています。

8 2013年春に「兼職禁止法」提出

フランスの制度の特色の一つに、各種公選職の兼職があります。現行制度においては、州・県及び人口3500以上のコミューンの議員職いずれか一つと国会議員職一つが兼任可能となっており、現に国会議員とメール(市町村長)、県や州の議長を兼ねる者は非常に多いのが現状です。
この兼職についてオランド大統領はかねてより批判的スタンスを取って来ており、閣僚は(法律上義務ではありませんが)地方の首長職を離れると共に、他の与党議員にも兼職解消を呼びかけています。しかし、与党社会党にも依然として兼職をしている議員が多数おり、その具体策はセンシティブな課題となっています。なお、野党UMPは旗幟鮮明にせず当面様子見を決め込んでいる状況です。
そんな中、大統領の諮問を受けた「公職・公選職に係るリオネル・ジョスパン委員会」が11月初めに答申を大統領に提出する予定となっており、オランド大統領は、この答申を受けて国・地方の公選職にある者や政党との協議を開始し、2013年春の法案提出を目指す旨を明らかにしました。

以上が、10月5日のオランド大統領の声明の主なポイントでありますが、ご覧の通り、いずれも国・地方の対立を演出したサルコジ改革への訣別を意識し、国・地方の協議・協調を強く打ち出した内容となっています。

AdCF総会においては、ルブランシュ分権大臣が「国の赤字は地方自治体の責任ではない。」「もし仮に地方自治体の歳出を過度に削減することになれば、この国の経済成長は危険にさらされることになる。」と述べ、併せて、「一部のマスコミが、根拠無く地方自治体の歳出を批判し、誤った情報を国民に与えている」として厳しい口調で非難するとともに、「コミューンの経常経費が増大しているのは、公共政策の必要性に応じ新たなサービスを推進しているからに他ならない」と理解を示しました。さらに、「司令塔としての国、明確化された権限を持って活動力に満ち満ちた地方自治体」という二つの責任主体間の協議の強化の重要性について特に力を込めて訴えていました。
昨年もこの会議に参加したクレアパリ事務所のスタッフは、あまりの会場の雰囲気の変わりように驚きを隠せないといった様子でした。

そして、その協議・協調の具体的方策の一つが先に述べた「Haut Conseil des territoires ハイレベル協議の場」というわけです。
また、同大臣は、地方長官préfetや地方自治体の執行部の参加による「州レベルでの協議の場」についても言及していました。そこでは各地域の個性を反映しつつ、多様な主体間で役割分担などを明確にした「ガバナンス契約」が結ばれることなどが想定されています。

オランド流の地方分権改革の今後の展開を見守りたいと思います。

2012-07-31

フランス:分権改革・新ステップに向けた関係閣僚会合

首相府のコミュニケによれば、7月31日、ジャン・マルク・エロー首相は、フランソワ・オランド大統領の公約である地方分権改革・新ステップの実現に向けた作業を進めるため、関係閣僚を招集した。

7月19日から27日にかけて、エロー首相はマリリーズ・ルブランシュ国家改革・分権大臣及びアンヌ・マリー・エスコフィエ分権担当副大臣同席の下、主要な議員連盟からヒアリングを重ねるとともに、州・県・コミューンレベルの各種連合組織と協議を重ねてきたところであり、その協議事項は
・国・地方間及び各種地方公共団体間の権限配分
・政策運営における地方公共団体間の調整
・地方財政の状況
・地方公共投資の財源調達
・選挙制度改革
をはじめ各般に及んだ。議員連盟とはバカンス明けにも協議再開の予定。

また、こうした協議の内容を踏まえ、7月31日、地方分権改革および国家の現代化(modernisation de l’État)をテーマとして、エロー首相が関係閣僚会合を招集した。
・協議を前進させるための方法論
・国・地方公共団体それぞれのミッションの明確化
・効率性や透明性確保の観点からの調整の仕組み
のほか、
・税制・財政調整に関する提案
・自治と「財政再建に向けた国家的取組への地方の参画」との新たなバランスの追求の必要性
・県議会・コミューン広域行政組織の選挙方法、選挙日程
など、議員連盟との協議同様幅広い事項について意見交換が行われた。

9月末に改めて、地方分権改革新段階の実現に向け、政府がとるべき「原則」(principes)を決定するための関係閣僚を招集する予定で、年末までに上院への法案提出を目指す、としている。
2012-07-16

フランス職業税の変遷(整理メモ)

フランス語には略号Sigleが多い。
職業税は既に廃止されましたが、地方財源の保障その他の観点からの最終の姿はまだ固まっておらず、地方と国との議論の中でもたびたび言及されています。前回や前々回紹介した政府と大都市市長会とのやり取りや、政府のコミュニケでも、焦点の一つとして取り上げられています。

そこで、頭の整理のため、制度の変遷を模式的にSigleに重きをおきつつまとめておきたいと思います。あくまでも便利帳的に、大胆に単純化して。

―――
〔凡例;□拡大事項、■縮小事項〕

【職業税TP本体の変遷】

1975年 
 □職業税TP創設
  ・課税標準 ①支払給与
        ②固定資産・償却資産の賃貸価格

1999年~2003年
 ■課税標準 ①支払給与 の段階的廃止

2010年
 ■職業税TP完全廃止

 □代替新税創設
 (1)地域経済貢献税CET
   ①企業不動産税 CFE
   ②企業付加価値税CVAE
 (2)ネットワーク型企業定額賦課金IFER

 □財源補填措置
 (3)職業税改革補填交付金DCRTP
 (4)国から地方への税源移譲
 (5)地方公共団体間の税目組み替え
 (6)財源個別補償全国基金FNGIR
   ・・・改革に伴う各団体ごとの歳入過不足を各階層ごとに設けられた基金で最終調整。
      (3)(6)はいずれも職業税からの制度移行に伴う各団体への影響を緩和するための措置であり、
     下記の財政調整制度とは趣旨が異なる。

【職業税TPに係る水平調整制度の変遷】
 ■職業税平衡県基金FDPTP(県内コミューン間水平調整) ~2011

 □イルドフランス州コミューン間連帯基金FSRIF(州内コミューン間水平調整)~2009?

2011年
 □有償譲渡税平衡国基金FNP-DMTO(県間全国規模水平調整)

2012年
 □コミューン(連合)間財源平衡基金FPIC(コミューン(連合)間全国規模水平調整)

2013年
 □企業付加価値税平衡州基金FRP-CVAE(州間全国規模水平調整  ※名称は州基金あるいは県基金となって
 □企業付加価値税平衡県基金FDP-CVAE(県間全国規模水平調整)   いるが国に設置される基金
2012-07-10

ジャン・マルク・.エロー首相の「Lettre de cadrage」

6月25日のコミュニケでも予告されていたとおり、エロー首相から、複数年予算及び2013年予算法案に関する枠組みレターlettre de cadrageが28日、全大臣に宛てて発出されました。

その内容は、25日の首相及び各大臣間の協議と内容的に重なるものですが、今回さらに具体的に示された内容をはじめ、数点ノートしておきたいと思います。

―――

・前政権時代と一線を画し、一律主義application de règles uniformesを脱し、各大臣には正義justeと共有partagé、という二つの努力が特に求められる旨、改めて強調されている。
- 正義。すなわち、大統領の公約にのっとって優先順位づけ、メリハリづけが行われなければならない、という努力。その意味ではjusteは正義よりも、むしろ「(一律配分ではなく)実質的な意味での適正」とでも訳すべきかも知れない。大統領や教育、安全、法務行政を重点課題としている。
- 共有。これは、重点分野に係る省庁を含め、すべての省庁が、自ら作成した改革案に則り歳出の節減に取り組むべき、というものである。

・実質的な歳出や総定員の安定的推移についても25日と同様であるが、下記の通り、より具体的に示されている。
〔定員について〕
- 教育、警察、国家憲兵隊、司法分野に限定して雇用口の拡大を認めること。
- 他の分野については、毎年2.5%の定員削減努力をすること。
- この努力は、重点分野所管省庁を含め、すべての省庁に求められること。
- 各大臣は、一律カットではなく諸々の行政分野の真のニーズに根差した措置を講じることで、公共サービスの効率性を確保すること。
〔予算について〕
- 経常経費dépenses de fonctionnementについては、各省庁は公共サービスの公平性・効率性を旨として、総額を対前年比7%(2013年)ないし4%(2014年、2015年)削減すること。民生補助費dépenses d’interventionについても同様の量的削減努力をすること。国の関連事業団体opérateurs de l’Étatについても同様とすること。

・こうした原則に則り、各大臣は改革案を作成し、7月中に経済財政大臣及び予算担当大臣と協議をすることとされ、さらにこの協議を踏まえ、首相は7月末までに、2013年、14年、15年における各省庁の予算・定員の総枠について決定することとされた。
 また2013年予算法及び2013年-2015年の複数年予算は、10月初頭までに国会に提出される予定としている。
2012-07-09

6月25日のフランス政府のコミュニケ

前回ご紹介した、6月27日の大都市市長会と政府との意見交換の際に議論の叩き台となったのが、政府の6月25日のコミュニケです。以下にその内容の概略を紹介します。

―――――

ジャン・マルク・エロー首相は6月25日(月)、2013年-2015年の複数年予算及び2013年の財政法案の準備の開始に当たり全大臣を招集した。

財政再建に向けた政府の約束は明確である。2013年に財政赤字を国富の3%に抑制し、2017年には収支均衡を達成。2013年から国富に占める負債残高の割合を減少させる。
首相は、ここ5年間で6000億ユーロ膨らんだ歳出の削減の重要性を改めて呼びかけた。

財政の抑制は、正義justiceの下でこの国を建てなおすために必要だ。この再建を成功させることは政府の使命である。その際の改革の主たるものは、生産性の回復redressement productif、教育制度の再建、正義に資する税制改革réforme fiscale au service de la justice、経済・自然環境双方に配慮した効率性efficacité économique et écologique、エネルギーの転換、国家の改革と地方分権改革第三幕である。

予算の均衡はそれ自体が目的ではない。財政抑制は単に会計的な意味で盲目的に行われるべきではなく、正義の下におけるこの国の再建に資するようメリハリをつけてなされるべきものである。効率性efficasitéと正義justiceが首相による調整の基準となる。

この新たなアプローチこそ、前政権と一線を画するものである。

この約束を確実に実現するため、首相は2013年から2015年にわたる複数年予算の編成作業のための方針orientationsを定めた。この方針は大統領選挙中の経済・予算分析と整合するものであるが、欧州及びフランスの経済成長が弱含みとなる中、改めて明示するものである。

この方針は三つの努力(effort juste, équilibré et partagé)、すなわち、「正義justeに根差した努力」、「追加的な歳入確保と歳出抑制とのバランスéquilibré確保の努力」、「方針を公共セクターのすべてのアクター(国、外郭、社会保障、地方公共団体)が共有partagéする努力」を基礎とするものである。

国は、大統領の公約実現のための財源を確保するため、実質的な歳出の安定化une stabilité en valeur des dépenses(国債費、年金を除く)を図る。
合わせて、国の総定員の安定的推移を実現する。雇用の拡大は、教育、警察、憲兵隊、司法に限定し、他の省には抑制努力が求められる。この努力の内容は、各大臣の提案に基づき、公共サービスの公平性、品質を旨として決定される。

国の関連団体les opérateurs de l’Étatについても同様である。

同様の精神に則り、社会保障経費も同様に抑制される。

地方公共団体に関しても、2013年からの国の財政協力に関し、国と同一の努力が実行されることになる。国・地方間で、信頼と連帯の協定un pacte de confiance et de solidaritéを結び、予算責任に関する原則が、地方分権第三幕の枠組みの中で定められることになる。

こうした方針は、今週中にも各大臣に対して発せられる首相の「枠組みレターlettre de cadrage」に盛り込まれる予定。

政府はそれに引き続き、会計検査院の独自の分析結果を踏まえた複数年予算の方針を議会に提出する。

2013年の予算法案及び2013年~2015年の複数年予算は、10月初頭までに議会に提出される。これらはいずれも、任期開始に当たり、正義の下での国家再建を成功させるための特段の努力について定める財政法loi de programmation des finances publiquesにおいて定義される公会計抑制戦略の中に位置づけられるものである。
2012-07-05

フランスの大都市の関心

少々お堅い記事になりますが、今後、フランスではオランド政権下での分権の動向が注目を浴びることになります。そこで、順次、分権をめぐる動きをフォローしていきたいと思います。

まずは、フランスの大都市市長会の関心事項について。
7月4日の大都市週報Grandes Villes Hebdoは、大都市市長会Association des Maires de Grandes Villes de Franceから提出された財政問題に関する質問と、それに対するジェローム・カユザック予算特命大臣(=副大臣)ministre délégué chargé du Budget, Jérôme Cahuzacの回答について報じています。
以下、そのご紹介。

―――

去る6月25日、政府は複数年予算と2013年予算法案に関する公式見解を記者発表した。そこでは、「国からの財政支援に関し、2013年からは、地方公共団体にも国と同様の努力が適用される」とされている。

この「努力」の性格や、大都市財政に関する政府の立場を明らかにするため、大都市市長会として5つの質問を提出したもので、同月27日、各質問に関し、カユザック特命大臣からミシェル・デストMichel Destot会長(グルノーブル市長・国民議会議員)ら代表団に対して回答がなされた。その内容は以下の通り。


【1 「努力」概念の射程は? 国からの交付金dotations凍結の継続やさらなる減額を意味するのか?】

特命大臣からは「地方公共団体に求められる国と同様の努力」とは、国から地方への交付金の規模の維持を意味する、との明快な回答があった。

これは従来からの文脈を考えれば非常に重要である。すなわち、4月に前サルコジ政権が欧州に提出した財政安定化プログラムでは、2016年までの国の交付金の引き下げが盛り込まれていたからである。

国から地方への種々の交付金全体をマクロ経済指標に連動させて決定する総枠enveloppe norméeの適用範囲の変更の可能性については、特命大臣から、FCTVA※は引き続きこの総枠の枠外とすることを首相に提言する、との発言があった。

※FCTVA:Fonds de compensation de la TVA
 地方公共団体が支払ったTVAを国が一定ルールで補填するもの。


【2 国から地方への交付金dotationsの減額、即ち地方間の財政均てん化péréquationの財源の削減が念頭にあるのであれば(注:1の回答で否定はされているが)、企業付加価値税CVAE※の現行の減税措置の見直しに伴い捻出される国の増収分を、地方の財政均てん化財源に回すべきではないか。】

大都市市長会としては、財政状況の悪化に伴い地方間の水平的な財政調整が極めて困難になる中で(注:特に財源拠出側の大都市にとって)、国の財源による財政調整の仕組みを拡充させるため、CVAEの減税措置見直しに伴う捻出財源の活用について大臣の見解を質しておきたいところであった。

特命大臣は、財政均てん化は地域間の不均衡の緩和のためにのみ行われるべきであり、(ある団体の財源を財政調整名目で他団体に回させることを通じた)地方の歳出抑制の道具とされてはならないと述べた。同時に、「財政均てん化が全てを解決すると考えることは止めるべき」と述べ、地方分権第3幕においては、財政均てん化についてのさらなる抜本的な検討が必要であると指摘した。

2013年の予算法に盛り込まれることが予想される市町村間財政調整基金FPIC※の廃止(clause de renvoyure)は、ほっと一息と言うに値するだろう(2012年の予算法では、FPICは1500億ユーロ→3600億(2013年)→5700億(2014年)→7800億(2015年)→2016年からは市町村税収の2%、と拡充することとされていた)。(注:水平的財政調整の財源拠出側たる大都市として廃止は望ましいこと。)

ただその一方で、特命大臣は職業税taxe professionelle廃止の弊害のうち大きなものについては是正が必要で、工場の立地地域、とりわけ汚染の危険性の高い地域sites Sevesoが職業税の廃止によって不利益を被らないよう何らかの措置を講ずる必要があるとした。

CVAEの軽減措置の見直しについては、特命大臣は否定的な見解であった。これは、同氏が他方で企業の競争力向上戦略を法案に落とす作業を進めている最中であるだけに、政府として影響を受ける企業との論争開始を望んでいないことが背景にある。

※CVAE:企業付加価値税Cotisation sur la valeur ajoutée des entreprise
 州・県・コミューンに配分される地方税で、企業不動産税CFE(cotisation foncière des entreprises)と共に、職業税の廃止に伴い導入された地域経済貢献税CET(contribution économique territoriale)を構成する。付加価値を課税標準とするが、売上高50万ユーロまでの企業についてはゼロ税率とするなど一律の減税措置が多分に盛り込まれている。ただし、この50万ユーロまでの減税措置は国によって補填されることになっている。また、各団体の税収の25%は基金として供出され、州・県に財政需要を基準として再配分される。

※FPIC:市町村間財政調整基金Fonds de Péréquation des ressources Intercommunales et Communales
 国の基金を通じて、富裕団体から貧困団体へと財源を移転する水平的財政調整の仕組み。職業税の廃止に伴い、2012年に導入。職業税時代は、FDPTP(fonds départementaux de péréquation de la taxe professionnelle)やFSRIF(fonds de solidarité des communes de la région d’Île-de-France)により県内、州内(イルドフランス州のみ)の市町村間の水平的財政調整の仕組みはあったが、国の基金を通じた全国規模での市町村間調整の仕組みの導入は初めて。2011年に県間の調整制度DMTO(fonds de péréquation des droits de mutation à titre onéreux)が導入されたのに引き続いての措置。


【3 地方の「責任」の強化が(大統領の公約等に)謳われているが、これまで繰り返されてきた「地方税の交付金化」の歴史に終止符を打つということか。】

大統領選挙の間に言及されてきた「中小企業に係る企業不動産税CFEの将来における軽減措置」を念頭に、大都市市長会からは、当該軽減措置は、これまで繰り返されてきたように、地方税を引き下げ交付金に振り替えるというこれまでと同様の措置に帰結することにならないか、懸念が示された。

特命大臣からは、今後年末までに提出される予算法において、地方税を交付金に移行させることにつながるようないかなる措置も検討の俎上に上がっておらず心配無用である旨の発言があり、地方公共団体の税制の自主決定権principe d'autonomie fiscale des collectivitésに対する自身の拘りについて理解を求めた。


【4 財源を凍結するのであれば、同時に、地方に次第に重くのしかかるようになっている「節操のない義務付けincontinence normative」を打破し、地方の歳出についても凍結ないし削減できるような措置をとる必要があるのではないか。】

大都市市長会は、交付金の凍結は、歳出とりわけ国の義務付けに起因する歳出の凍結と連動するべきと問題提起。特命大臣はこうした認識を共有しつつ、「節操のない義務付け」により地方の予算が強いられている経費は2011年だけで7.6億ユーロに達すると述べた。なお、この「節操のない義務付け」という言葉は、ロワール・エ・シェールの上院議員ジャック・グルノーが、地方公共団体に適用される諸基準の簡素化を図る法案に関する報告書において用いた表現である。

大都市市長会としては、この報告書は本来各省が共有すべきものであることから、検討の場mission dédiéeを設置するよう提案した。特命大臣は、場合によっては種々の全国議員連盟とも連携しつつ、アンヌーマリー・エスコフィエ地方分権特命大臣に当該提案についてつなぐ旨を示唆した。

なお、基準の普及で一役を担っているスポーツ連盟に関して報告書を作成するよう、ヴァレリー・フルネイロン教育・青年・スポーツ大臣への働きかけを早々に行うことも有意義と考えられる。


【5 地方投資公庫Agence de financement des investissements locauxについて、各省の協力のもと法案を準備し、年末まで国会で検討を進め、その実現をリードして欲しい。】

地方公共団体が深刻な信用不安に直面する中、特命大臣は、こうした状況克服のため多様な解決策を用意すべきとの分析に理解を示すとともに、政治家により、大都市市長会も加わる形で、地方投資公庫の実現に向けた運動を行うことの正当性について認めた。

アドホックな公施設法人を創設したとしても、暗黙のものを含め何ら国の保証を何ら受けられるものではないことから、こうした公庫の最大限早期の実現に大いに賛成である旨、特命大臣は明言した。
2012-07-03

フランス都市連合のフォーラムに参加

フランス都市連合(Cité Unies France)のフォーラムが、ポルトマイヨのパレドゥコングレで開催されました。

当方は、日頃お世話になっているCUF事務総長のBertrand Galletさんが議長を務める「地方自治体間国際協力の法的側面」と題する分科会に出席。

そこでのコンセイユ・デタ(日本の内閣法制局に相当)の評定官のYves Gounin氏のプレゼンが簡にして要でしたので、少々説明を付け加えつつご紹介します。

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2007年1月25日、国民議会は全会一致で地方公共団体の海外での行為に関する法案(ミシェル・ティオリエール上院議員・サンテチェンヌ市長が提出)を可決。この所謂ティオリエール法loi Thiollière(2007年2月2日法(№2007-147))により、92年法が抱えていた法的不明確さ(地方公共団体の行為が当該地域の利益(l`intérêt local)に資さないものであることを理由とする訴訟の頻発など)が解消された。
具体的には、地方公共団体及びその組合は、その権限として、地域の利益を取り立てて立証することなく、国外の地方政府との協定conventionの締結を通じて、国際協力活動や開発援助ができることとされた。

協定を結ばずに国際協力が認められる例外は2つ。

(1)「緊急性」。緊急性により正当化される場合であれば、地方公共団体及びその組合は、協定無しに、人道的性格の行動を実行に移しあるいは資金提供することが認められる。

(2)「権限の一般条項」(clause générale de compétence セイビングクローズ)。これにより、(1)に該当しないケースでも、地方公共団体は、協定を結ぶことなく、国際協力活動を弾力的にとりうるわけで、言わば地方公共団体にとってのセーフティネット。

ただ、(2)のセイビングクローズは、当該地域の利益に資することが明らかである場合にしか、自治体の国際協力活動を正当化しない(パリ高等行政裁判所判例)。つまり、法的なリスクを避けようと思えば、緊急性要件に該当しない限り、地方公共団体にとっては協定を結ぶことが無難ということになる。

加えて、2010年12月16日法(№2010-563)においては、この「権限の一般条項」が県及び州について削除された。これにより、県議会、州議会は、法律が認める個別の権限分野においてしか審議・決定することができないことになる。
(なお市町村communesについては権限一般条項は存置された。また組合は元々このセイビングクローズの対象外であり影響はない。 )

この2010年法は地方公共団体の国際協力自体を否定するものではないが、この「セーフティネットの廃止」によって、より慎重な法適合性の判断が強いられることになった。

なお、この改正は現在はまだ施行されていない。
加えて、Hollande大統領は選挙戦において次のように公約し、改革の巻き戻しを訴えている。
「私は地方の民主政治と自由を強化する法案を通したい。この法案はとりわけ、(県議会議員と州議会議員を統合した)「地方議員 conseiller territorial」(2010年法(これは2010年11月9日に上院で可決成立しているが、上記の№2010-563と同じ法律か??)により、県・州の二重行政解消に向けて創設)の廃止、権限の明確化について定めることになるだろう。」

新政権のもとで、県や州の位置づけがどのように変わるか、予断を許さない。
仮に元に戻るとすれば、県や州の権限の弾力性は回復するかも知れないが、ただその場合でも国外との協力には「地域の利益」要件の充足が求められるところであり、conventionを結ばない形態での国際協力がどこまで進むかは微妙な状況である。
2012-07-02

パリからの発信

縁あって、パリのセーヌ川の畔に移り住むことになりました。

日々の出来事や感じたことなどを、折に触れ発信していきます。
2012-03-28

下鴨を離れることに

3年間慣れ親しんだ京都を離れ、4月から霞ヶ関にて勤務することとなりました。

歴史の重みを感じさせる数々の世界遺産や、都会なのにコントラストのきいた美しい星空、目に優しい鴨川の緑など、インスパイアリングな風物に囲まれた「京都 下鴨」での生活は、文字通り夢のようでした。

中でも、左京消防団や祇園祭への参加は、京都の伝統や文化を身体に理解させる貴重な機会となりました。

また、心から美しいと思う鴨川沿いのジョギングは、2年半続ける間に徐々にエスカレートし、丹波ロードレースや八幡ハーフマラソンをはじめ、福知山、木津川、京都の3つの大会でフルマラソンに参加するまでになりました。“10㎞離れている”と聞くと、“それは近いね”と感じられるようになったのはちょっとした収穫(?)。

京都で初めて購入したロードバイクも今や生活必需品となり、年間3000kmペースで乗るようになりました。相楽東部で開催された第1回ロングライドに参加したときの、あの風を切る爽快さは忘れられません。

そして何より、こうした機会も活用しながら、自分の足で府内各地を踏みしめることができたこと、そして、それぞれの地域の人たちとつながりを持てたことは、今後の自分の人生を必ずや豊かにしてくれる大切な経験となりました。

さて、東京では東日本の復旧復興支援の仕事に携わる予定です。

京都で培った有形無形の財産を、日本の元気回復に向けて注ぎ込む――。
「下鴨」での心豊かな生活への感謝、恩返しの気持ちを込めて、自らの精一杯を捧げたいと思います。


というわけで、4月からは「下鴨にて」ではなくなってしまうわけですが、今後もフェイスブックを中心に情報の発信や交換ができればと思います。このブログもしばらくは「下鴨にて」のタイトルのまま置いておきます。

今後ともよろしくお付き合いいただければ幸いです。
2012-01-04

今年の目標3+1

あけましておめでとうございます。

フェイスブックを始めてからすっかりブログの更新がご無沙汰になってしまいました。

さて、本日、職場の同僚と本年の抱負について披露しあいました。
ルールとしては、仕事に関係のない目標とすること、そして、出来る限り背伸びすること、さらには、結果を公表すること。

ちなみに昨年の目標は、
フルマラソン完走、写経再開、京都検定合格
でしたが、このうちフルマラソンは福知山で達成。写経は回数は寂しい限りですが、一応完成品を薬師寺に納経、三つ目の京都検定は日取りが合わず、不戦敗に終わりました。

さて今年ですが、ちょっと趣向を変えて、

①UNDER 4
②BEFORE 22
③BEYOND 100

で行きたいと思います。

①はマラソンで4時間切り。これは24分以上の短縮が必要で、相当に高いハードル。2月の木津川マラソンではまず無理なので、その次くらいに照準を合わせるか。
②は22時以降に食べない。これも残業の多い不規則な生活と、夜食・間食漬けの生活習慣ゆえにかなりしんどいところ。。。
③は読書の冊数。これは一見簡単にクリアできそうで、論文や雑誌(専門誌も)などは除くので、意外と大変。

これに、番外編として、仕事がらみにはなりますが、
④PAPERLESS OFFICE
の実現も加えて、今年の目標としたいと思います。恐らく、④は絶望的に困難。

でも、こうやってあえて書き出してみると、なんだかやる気が出てきました。
2011-12-04

木津川「流れ橋」の現状

マラソンで八幡に来たついでに、木津川の流れ橋(日本最長の木造橋)まで足を伸ばしました。(ついでとは言え、意外と遠く、ハーフ後の7㎞ウォーク&ランは結構足に来た。。。)

大雨時には橋板が橋桁から浮いて流れ、水が引いたらワイヤーで手繰り寄せる構造の流れ橋ですが、9月の台風12号で橋板などが損壊し、現在修復工事中。かなり復旧も進んだ様子でした。

最近は晴天が続いていることもあり、橋板が流されたとは考えられぬ位、木津川の河原は干上がっていました。

流れ橋 復旧中
2011-12-04

八幡市民マラソン完走

この頃、ランニングネタばかりですが・・・

二度目のハーフマラソンとなる「八幡市民マラソン」に参加。ハーフ完走。

前回の丹波では2時間かっきりでしたが、今回は7分伸びて1時間53分。当然ながら自己ベストなので満足です。
今度は順位が「かっきり」で、440人中220位。

ゴール前2km位のところでゴールのゲートが見えたので、思わずラストスパート。
しかし、コースは運動公園の周りをぐるぐる回ってなかなか着かず。結局、ながーいスパートになって、お陰で20人近くごぼう抜き。

まだペース配分が分かっていない証拠でもあります。経験を重ねる内に少しずつ延びてくれれば。。。

今年はこれで走り納めです。次は1月の久御山マラソン。

八幡市民マラソン・完走証

ところで、福岡国際マラソンの川内選手、感動ものでしたね。あのポジティビズム&完全燃焼、見習わねば。ご本人の座右の銘は「現状打破」だそう。素晴らしい。
2011-11-24

福知山マラソン完走!

福知山マラソン、完走しました!
自分にとって正式な大会でのフルマラソンは初めて。

今回はとにかく​止まらないことを目指していたので、30km過ぎから大失速したことなど気にしない!! 4時間23分という記録も大満足。それにしてもゴール直前の1km超を激しく登らせるこのコース、ホントにランナー泣かせで、歩く人続出。僕も流石にギブアッ​プ寸前でしたが、足元だけ見て歩数を数えて気を紛らわせていました。800位数えたところでゴール。結構、この作戦、使えるかも知れない。

それにしても、腰と​足の裏が痛くてまいりました。とにかく念入りにストレッチ!

福知山マラソン・記録証
2011-11-03

京都丹波ロードレース

京都丹波ロードレース、ハーフマラソンの部に参加。完走しました。

これまで非公式な記録会などには何度か参加していましたが、正式な大会は初めて。

起伏が激しいとは聞いていたものの、前半10kmは意外とフラット。気が緩んだところへ、後半に長~い坂道。
たまらず脱落するランナーも多く見られましたが、足下を見ながら、こつこつと走ってしのぎました。

沿道の声援や、こまめに設置された給水・給食ポイントも、背中を後押し。

なお、タイムは2時間00分13秒。すれすれ2時間を切れないところが、次に繋がって良い、かな。

丹波ロードレース・完走証

次は、23日の福知山、フル。頑張らねば。
実際、20日後のフルに備えて、今日のハーフを調整のために活用しているランナーも多いようでした。
プロフィール

黒瀬敏文 Kurose Toshifumi

Author:黒瀬敏文 Kurose Toshifumi
平成21年4月より3年間、京都府にて「和」「日本」を学び直す。24年6月からパリ在住。日本の地域の魅力の発信に従事。

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